住宅地が好きなのです。何の変哲も無い、家ばかりが整然と並んでいる住宅地。
幼少のみぎりより新興住宅地などで育ったせいなのか、どこの土地の住宅地もとても好き。いまの家を決めるときも、だんなさんは商店街のあるにぎやかなところが良いと言ってきかなかったのですが(そこらへんはよしもとばななの「王国」を読んだときにディテールは解った)わたしは頑なに住宅地が良いと言い張った。生来賑やかな土地は好きではないのです。今住んでいるところは中央線界隈だけれど好き。なぜなら住宅地のド真ん中だから。
最近は職場にも自転車で通っているので、住宅地を突っ切って職場に行き、帰りも住宅地を突っ切って戻ってきます。夜の住宅地はとても良い。門灯がともっているおうちはきっとお父さんを待っているし、なにもついてないおうちはもう家族は揃っているのかしら、それともまだ誰も帰ってきてないのかしらと思う。
いまの季節、梅の花木蓮はそろそろ終わりだけれど、庭からミモザがあふれ出し、沈丁花の良い香りが漂っています。わたしの通る道に荒れた家はあまり無く、庭も玄関もとても綺麗。そういうのを見ると良かったね、とおもう。家族、という単位はどこのおうちも予想以上に問題が多いものなのは知っているけれど、こんなふうに賽の目上に区切られた土地で四角くく暮らし、庭に花を咲かせるのは楽しいのではないかと思っている。じつはずっと。


わたしが定住と安定をきらい、思いたったときに何処にでも行けるようで居たいと心がけているので、過度な憧れもあるのでしょうけれどね。家を建てるなら9坪ハウスで建てたいな。